次にキモズムを越えるものはなにか
キモズム理論とは
VRエヴァンジェリストのGoRoman氏(@GOROman )が提唱しているキモズム理論というものがある。
キャズムのことを知ってから、確かに理解できるんだけれども、自分の原体験とはズレているな、違うなあ...と感じた部分があります。それが形にならず、ずっとモヤモヤしていたのですが、2013年頃、オキュラスなどVR用機器を観ていてふと気付いたのです。
簡単に言えば「キモい」からです。キャズムとは、「キモい」と感じる溝・谷のことであり、すなわち「キモズム」だったのです。
新しいイノベーティブなプロダクトがスケールするかは、16%の初期市場(イノベーター、アーリーアダプター)と68%のメインストリーム市場(アーリーマジョリティ、レイトマジョリティ)の間にあるキャズム(溝)を越えられるかどうかにかかっているのだが、GoRoman氏はそれを左右するのは「キモい」かどうかと説く。
要は技術が一般市民からみてキモいうちは、どれだけマーケティングを頑張ってもキャズムは越えられないのである。
モテ男はキモズムをダサズムとして理解している
これを読んで僕はピンときた。
スマートウォッチを買うときにキモズムならぬダサズムを意識していたのだ。
ダサズムをギリギリ越えられると思ったのが、Pebble Time Roundなのである。
大きめの黒飴のようなApple Watchも、銭湯のロッカーキーのようなFitbitもダサすぎてダサズムを越えられないのだ。
このPebble Time Roundはナンパした際に何度も女の子にかわいいと言われたが、おそらくApple WatchやFitbitならそんなことはなかっただろう。
「なにその時計?変わってるね」
— オンク (@it_warrior_onc) 2017年10月22日
「スマートウォッチだよ」
「なにができるの?」
「ラインの通知飛ばしたりとか」
「ここにラインがでるの?」
「そうだよ」
「試しにラインしてみるから教えてよ」
「いいよ」
なんだこのイージーゲームwhttps://t.co/RsxQ20ynVc
キモさやダサさに気づくには
この「キモさ」や「ダサさ」に気づくにはどうすればいいか。
ダサいものにダサいと瞬時に気づける能力はもう一種のセンスみたいなもんだ。
センスある人は、なにか対象を目にした瞬間、反射的に「キモっwww」や「ダッサwww」と思える。
ダサいと気づく人と気づけない人ではみえてる世界がまるで違うのである。
実はこの一種のセンスについてもGoRoman氏は的確に言語化してくれている。
キモいと感じられなくなる、というか、普及し始めるタイミングっていつなんだろう...と考えると、それは「モテそう」になった時なんですよね。要は目に触れる機会が増えた、自分達にとって危険でも特別でもないものになってきた、ということだと思うんですよ。
そう、ひとつの基準は「モテそう」なのである。
僕がPebble Time Roundを買ったのも「モテそう」だったからなのだ。
ギラギラしたロレックスやタグホイヤーはどうしてもダサくみえてしまう。
かといって、Apple Watchは大きめの黒飴だし、Fitbitは銭湯のロッカーキーにみえてしまう。
Pebble Time Roundはモテ視点に立った選択だったのだ。
そしてこれは完全に自慢だが、案の定僕はスマートウォッチに時計を変えてからもモテ続けた。
表面的な「カッコよさ」だけではキモズムは越えられない
しかし、である。
「カッコよさ」だけではモテないのもまた事実だ。
では、カッコイイ、モテそうなマーケティングをすればキモズムを超えられるか...というと、そうではありません。技術的に、製品の本質としてまだキモズムを超えていないものに無理やりモテそうなイメージだけをくっつけても、むしろ逆効果が生まれます。
例えばウェアラブル機器。『グーグルグラス(2013年)』のようなグラス型機器や、スマートウォッチのような身につける機器のプロモーションでは、まるでファッションショーのような演出が行われることが多かったようです。しかし、実際の者がまだ「キモズムの向こう側」であるのに、それをつけているモデルさんがカッコイイと、むしろギャップが大きくなってしまいました。
重要なのは、本質が追いついて、さらにそれをわかりやすく伝えるためにマーケティングを活用することです。
これはずっと言い続けているFV(ファンダメンタルバリュー)の話にも通ずる。
次にキモズムを越えるものはなにか
モテを磨くことはキモズムを越えるものを見極めるのに役立つ。
それで個人的に次にくると思うのは「プログラミング」である。
僕が学生時代、プログラミングはキモいヲタクがなんか暗号をガジャガジャやるものだと世間には認知されていた。
当時の彼女は、僕がプログラムを書いてる画面をのぞき込み、
「なにそれ。暗号?えっ、これ意味わかるん?めっちゃキモいやんw」
とボヤいていた。
当時はプログラミングの授業を履修している女の子なんかはほとんどおらず、いたとしてもロッチ中岡似の女の子が2,3人いる程度でモテとまるで無縁の存在だった。
しかし、今はどうだろう。
普通の抱けるレベルのルックスの女子がお金を払ってプログラミングスクールに通うような時代になった。
当時に比べると、おしゃれなMacbookやAtomなどかわいいテキストエディタもあるし、ProgateやPyQ、Udemyといった挫折しづらいインターネットでの学習環境も整ってきた。
エンジニアはヲタクというより、専門性の高いエキスパートやリモートワークなど融通がきいて自由に働ける職種と認知され始めている。
いまやエンジニアはカッコいい職業になりつつあるのだ。
というわけで、僕にこの波に乗ろうと思う。というかたぶん乗る。
おしまい
参考