恋愛市場の歪みをつくことでみえたクリスマスの闇
11月中旬から12月中旬にかけて恋愛市場にバブルが訪れる。
クリスマスの影響である。
彼がいない子はクリスマスまでに彼がほしいし、彼氏がいる子はクリスマス前恋愛市場に放出される。
実際にイギリスで行われた、Facebookの交際ステータスをもとにいつ別れる(Break-Up)カップルが多いかを調べた調査では、3月下旬と12月の初旬にもっとも多くのカップルが別れる。
(引用元:Peak Break-Up Times On Facebook)
3月は新しい仕事や異動など新生活で、12月はクリスマスをどう過ごすかの温度差で別れるからである。
優秀な恋愛プレイヤーというのは、いつでもメタな視点をもっている。
株や暗号通貨の市場ではいつどこに大きな資本が流れるかを予想するように、恋愛市場でもいつどこに美人が流れてくるかマクロな視点で俯瞰しながら動けるのだ。
つまり、恋人たちのクリスマスこそ恋人がいない子たちを救うため、新規ゴールねらいくべきなのである。
これは単に歪みをつくというだけではなく、社会貢献的な意味でも、だ。
クリスマスにどこか連れてってもらおうと期待している既存よりクリぼっちにならないか不安な新規の方が投入コストに対して生み出される相手にとってのうれしさの度合いが大きくなるからだ。
メタゲームは社会貢献なのである。
そんなこんなで僕は仮説検証のため11月中旬から12月中旬で引くほどの金を新規彼女の開拓に投じた。
僕の仮説はあたっていた。というか想像以上だった。
普段では食事に行けないような美人がゴロゴロいて、しかも異様なほどの食いつきをみせた。
恋愛はもはやシーソーゲームではなくイージーゲームになったのだ。
彼女らをひとりずつ幸せにしていく過程で僕はあることに気づいた。
今までクリスマスの被害者は高いディナー代やプレゼント代を支払わされる男だと思っていたが、彼女らもまた被害者なのである。
いや、精神的なコストという意味では彼女らの方がよっぽど大きな被害を被っているかもしれない。
「クリスマス」とはそもそも何なのか。
「クリスマス」とはどういう状態なのか。
「クリスマス」に価値が上がり、下がるものは何なのか。
こうしたことは一切考えず、彼女らは「クリスマスは恋人と過ごすもの」という信仰に踊らされ、彼がいる子は彼からの愛情表現に期待しては裏切られ、彼のいない子は男探しに帆走しては消耗する。
心理学者のB・F・スキナーは、こんな言葉を残している。
人間の行動はすべて、個人の欲求か、種の欲求か、社会全体のルールに適応したものになる。
彼女らを動かしているのは、個人の欲求や種の欲求でもなく、社会全体のルールなのである。
クリスマスは恋人とディナーに行き、観覧車に乗り、高級ホテルに泊まる。
こうしたフレームで世界を捉えていると社会に提示された価値基準にブンブン振り回され、結果的につらく苦しいクリスマスを過ごすことになる。
これこそ楽しいクリスマスの裏に隠されたクリスマスの闇である。
彼女らに必要なのは4℃のアクセサリーなんかではない。
社会が提示した価値基準に惑わされず自分らしく生きられる自分自身の価値基準なのではないだろうか。
おしまい
参考