"おじさん"が絶対に働き方を改革できない理由
今流行りの働き方改革。
ある働き方改革推進委員長のおじさんはキックオフで意気込みを語った。
「働き方改革については全身全霊、本気で推し進めていく所存でございます!ぜひみなさまご協力をよろしくお願いします!」
ひとりのおじさんが本気で今までの働き方を変えようとしている。
しかし残念ながらおじさんは働き方を改革することは決してできない。
なぜなら"おじさん"だからだ。
"おじさん"とは
ここでいう"おじさん"とは単に年齢ではなく、以下のような特徴を踏まえたおじさんである。
・変化やリスクを嫌い、目的の達成よりも責任の回避を優先する
・大変でつらい仕事を我慢して頑張る自分が好き
・自分より早く帰る人が許せない
・飲み屋での会話は7割以上が不平不満や愚痴
・口を開けば二言目には「しかたない」で思考停止
要するにマインドが"おじさん"という意味だ。
働き方改革とは何なのか
そもそも働き方改革とは、生産性を上げるのではなく組織と個人間の利害の対立を解決することだ。
もっといえば、今までつらく苦しいものと捉えてきた仕事を楽しいものに変えることである。
お金をもらうために仕事をする時代は終わった。
というか、これまではお金のをもらうために我慢して一生懸命働いていれば、給料が上がり、定期預金の利息がつき、その金を使うことで幸せを感じられたからそこまで考えなくてもよかったのだ。
しかし、今はモノやサービスに溢れ、ただ頑張るだけではそれらが成立しなくなっている。
当然企業の業績が悪くなれば税収も減るので、国が働き改革を推すにはおそらくそうした背景があるのだろう。
仕事は苦しく大変な我慢するものという洗脳
"おじさん"はなぜかすぐに働き方改革→残業削減→生産性向上という罠にとびつく。
「生産性をあげよう!生産性が上がれば残業が減り、ワークライフバランスがとれた、素晴らしい未来が待っている!」
と言わんばかりに。
この根底には、仕事を歯を食いしばって苦労しながらやる大変なもの、と教えこまれてきた、いや、洗脳されてきた”おじさん"マインドがある。
問題なのはワークとライフのバランスなのではなく、ワークとライフの利害が対立していることだ。
ワークを楽しくすれば、それがライフとなり、またさらにそのライフからワークが生まれる。
働き方改革は、ワークとライフの境界線をいかに曖昧にするかが勝負なのだ。
逆にいえば楽しくすることさえできれば、結果的に生産性は上がる。
ポジティブな状態の脳は ネガティブな状態の脳より31%生産性が高くなります。販売で37%成績が上がります。ネガティブやニュートラルでなくポジティブなときに 医者は19%早く正確に 診断するようになります。これは法則を反転させられることを示しています。現状に対してポジティブになることさえできれば脳はより熱心に速く知的に働きその結果としてより成功するようになるのです。 (引用元:TED Talk Subtitles and Transcript "ショーン・エイカー 「幸福と成功の意外な関係」")
"おじさん"が働き方を改革できない理由
しかし、この仕事を楽しくすることは"おじさん"には絶対にできない。
絶対に、だ。
それにはちゃんとした理由がある。
オランダの動物行動学者フランス・ドゥ・ヴァールは、2匹のサルの一方にキュウリを、もう一方にはブドウを与え、サルに平等という概念が備わっているかを調査した。
彼の仮説どおり、キュウリを与えられたサルは不公平さにブチキレた。
Two Monkeys Were Paid Unequally: Excerpt from Frans de Waal's TED Talk
"おじさん"もこのキュウリを投げ返すサルと同じなのである。
「オレたちはつらい思いをして歯を食いしばって仕事してきたのに、楽しく仕事をするなどけしからん!不公平だ!」
そう思うのだ。※もちろん本人たちがそれを自覚しているわけではない
「仕事はつらく苦しいもの」として数十年頑張ってきた前提を覆すことは、自分の歩んできた人生を否定してるも同然なのである。
"おじさん"にならないために
結局のところ、平等なんてこの世の中のどこにも存在しない。
生まれつき裕福な人もいれば貧乏な人もいるし、頭の良い人もいればバカな人もいる。
モテる人もいればモテない人だっている。
僕らは本能的に平等を求めるようプログラムされているが、返ってそれは幸せを遠ざける。
大切なのは感情の赴くままに他人と比べることではなく、一歩ひいて過去の自分と向き合うことではないだろうか。
僕は楽しく働ける側の"おじさん"になりたい。