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なぜ泥酔ポンコツ状態でもゴールできたのか

つい先日とある恋愛サロンメンバーの方たちが集うホームパーティーに参加してきた。

そこではたくさんのゴールが生まれ、まさに「恋愛は団体戦」の成功(性交)事例だと感じた。

どうしても男同士でパーティーや合コンをやると「おれが一番美女抱いてやる!」と他人を蹴落としたり、奪い合ったりしがちなのにまったくそんなことはない素晴らしいパーティーだった。 

そんなこんなで自分もいつの間にかひとりの女の子と夜と共にしていた。

 

そして、翌日恋愛コンサル生のひとりからこんな感想をもらった。

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泥酔ポンコツ状態だったので、はっきりいってどうやったかはあまり覚えていない(笑)

彼に言うとおり、特になにか戦略や立ち振る舞いを考えていたわけではなく、ただなんとなく飲んでなんとなくビジネスの話をしてなんとなく女の子と話していたらこうなっていたのだ。

  

脳には2つのシステムがある

心理学者のキース・スタノビッチとリチャード・ウェストは僕らの脳の中には2つの思考モードがあるという。

・「システム1」は、自動的に高速で働き、努力はまったく不要か、必要であってもわずかである。また、自分のほうからコントロールしている感覚は一切ない。

・「システム2」は、複雑な計算ほど頭を使わなければできない困難な知的活動にしかるべき注意を割り当てる。システム2の働きは、代理、洗濯、集中などの主観的経験と関連づけられることが多い。

ひところでいうと、システム1は速い思考、システム2は遅い思考である。

人間は認知ケチな生き物なので、隙さえあらばこの楽ちんな「システム1」に判断を委ねようとする。

・エグザイル好き→頭悪いギャルかマイルドヤンキー

・かきあげ前髪の女→西麻布に出没

・おれはこれで金持ちになった→おまえらもこのやり方で成功しろ

このような過度な一般化やレッテル貼りもその典型といえるだろう。

 

逆にシステム2に判断を委ねればこうなる。

・エグザイル好き→頭悪い=低学歴(高卒以下)と定義し他のファンと比較せねば

・かきあげ前髪の女→まずは他の新宿や渋谷に比べて有意な差があるか検証せねば

・おれはこれで金持ちになった→このやり方が再現するための前提条件は126コ必要で~

そう、システム2はとてもめんどくさいヤツなのだ。

このめんどくささゆえに僕らはシステム2(遅い思考)よりもシステム1(速い思考)をしばしば優先する。

ちなみにシステム1を使ってこの適切っぽいけど不完全な答えをみつけることを、心理学の分野でヒューリスティックという。

 

 

優れたエキスパートは直感で意思決定する

こう聞くとシステム1は怠け者でなにか悪者のように感じてしまうが決してそうではない。

例えば、優れたプロジェクトマネージャーはプロジェクト計画書の一部に目を通せばそのプロジェクトが行く末がだいたいわかるし、優れた医師は患者の症状をみれば原因や病名、治療方針がだいたいわかるし、優れたナンパ師は女の子をみれば会話がオープンするか、今日ヤレるかだいたいわかる。

卓越したエキスパートほど意志の力を使わず、直感的に判断しているのだ。

 

行動経済学者ダニエル・カーネマンの共同研究者であるゲイリー・クラインは、 こうした直感での意思決定を、認知主導的意思決定モデルと名付けている。

 彼らは10年以上にわたる実体験や仮想体験で蓄積シてきたパターンの引き出しから、適切と思われる解決策をひとつ選び出し、それをまず検討する。頭のなかでシミュレーションをしてみて、直面する状況にうまく当てはまるかどうかを確かめる。うまくいきそうだとなったらそのまま実行する。多少不具合があれば修正する。感tなんな修正ではすまないとわかった場合には事前の候補を選び、それをまた同じ手順で検討する。適切ない策がみつかるまでこれを繰り返す。

要するに、優れたエキスパートの意思決定は、直感で解決策を思いつき(システム1)、それを注意を払って検討する(システム2)というプロセスを踏んでいるのだ。 

 

なぜ泥酔ポンコツ状態でもゴールできたのか

本題に戻る。

それで今回自分は特になにかしらの戦略やテクニックを意識していたわけではない。

もっと具体的にいうと、

「ボディタッチされたから脈ありサイン。1ポイント」

「連続で質問してきたから脈ありサイン。2ポイント」

「目が潤んできたから脈ありサイン。3ポイント」 

「よって計6ポイント、基準の5ポイントを越えたのでセクトラ(セックストライ)します」

みたいにシステマティックなことをやっていたわけではない。

ただなんとなくいけると思ったからなんとなくギアチェンジしたに過ぎない。

 

これを先ほどの認知主導的意思決定モデルで説明すれば、 直感で解決策を思いつき検討せずそのまま実行したらうまくいった、というところだろう。

つまり、脈ありサインをひろいセクトラするか判断するというスキルは、「システム1」が担っていたのだ。

 

直感的スキルを習得する2つの必要条件

というわけで、システム1に思考を渡せるよう直感的スキルを磨け、というぬるい結論に至るのだが、それだけでは心もとないのでそのための必要条件を記しておきたい。

 

僕ら人間には恐怖体験から短時間で学ぶ能力が備わっている。

自分自身は過去の経験からかきあげ前髪女は最も苦手とするタイプであり、今でも彼女らに遭遇するだけで無意識に財布を守ろうとしてしまう。

しかし、プロジェクトマネージャ、医師、そしてナンパ師などのエキスパートが身につけているような高度な直感的スキルの習得にはもっと時間を要する。

もちろん脈ありサインも同様だ。

 

カーネマンらは高度な直感的スキルを習得するための必要条件として、2つの条件を導き出している。

・十分に予見可能な規則性を備えた環境であること

・長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること

 

1つめは前提条件が変わりすぎてはダメだということだ。

自分にコントロールできない変数が多すぎると、なにが要因でうまくいかなかったかがみえなくなる。

学習の初期段階ではスキルをサブスキルに分割したうえで、こうした環境面の変数を極限まで減らすのが効果的だ。

恋愛コンサル生に最初は同じレストランや同じコースを繰り返すよう推奨しているのはこうした理由がある。

 

2つめはフィードバックが得られるということだ。

このフィードバックはとにかくすぐに得られた方が学習が強化されるし習慣化もされやすい。

コンサル生の方たちに簡単なレポートを書いてもらうよう推奨しているのはこのためである。

 

 

まとめると、スキルは日常生活で自然と反応してしまうレベルまでに達すれば、泥酔ポンコツ状態でもそれなりに機能するということである。

まあそこまで習熟する必要があるかどうかは個人の目的次第だと思う。 

 

 参考文献