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コンテンツづくりに役立つ「オモロイ」のシンプルな原則

なぜ「オモロイ」が必要なのか

「おれはオモロイかオモロないかで人を判断する。オモロイやつは合コンに呼ぶし、どれだけ頼まれてもオモロないやつは絶対呼ばん。それだけ。合コンメンバーの選抜は驚くほどシンプルなんや。」

昔こう言ってる合コン好きの同僚がいた。

おそらくこの示唆に富む発言は合コンだけでなくビジネスの分野にもあてはまる。

 

アメリカの社会心理学者、ゴールドハーバーが提唱するアテンション・エコノミーという概念がある。

インターネットに代表される情報発信媒体(メディア)が増えたことで、情報過多の状態が起こっており、そうした世界では人々の「アテンション(=関心・注目)」が情報量に対して稀少になることで価値が生まれ、交換財となりえるという概念。 関心経済、アテンションエコノミー、Attention Economy。(Wikipediaより)

インターネット普及によりそこらの日系メーカーがつくるクソアプリの200倍くらい使いやすく素晴らしいアプリをタダ乗りできるようになり、ますます組織から個人の時代に変化してきた。

それで個人でのスモールビジネスを成功させるには、一にも二にもまず集客である。

人して人を集めたり、人の時間を奪うためには注意を引くことが必要になる。

注意を引くためには、なにか"オモロイ"ことが必要になる。

テクノロジーは不可逆なものだ。

貨幣経済→関心経済→オモロイ経済への流れはもう誰にも止められない。

 

「とにかくマジメが取り柄です!」

 

こんな20世紀型量産人間はオモロイ経済で完全にオワコンだ。

昔は会社というローカルな共同体に価値観をすり合わせていくことでしか社会資本を獲得できなかったが、今はインターネットがあるからマジメさよりもむしろオモロさ勝負なのである。 

マジメに頑張っていれば仕事が与えられ、評価される時代は終焉を迎え、オモロない人の仕事は次第に減っていき、最終的にはなくなる。

 

オモロイ経済で勝者となるには、とにかくたくさんの"オモロイ"コンテンツという資産を蓄積することである。

世界一の投資家ウォーレン・バフェットが「ゆっくりお金持ちになるのは簡単。だから貯金は早く始めること」と説くように、オモロイコンテンツは早く貯めるに越したことはないのだ。

 

「オモロイ」を創り出すシンプルな原則

では「オモロイ」とは何なのか。

そのシンプルな原則をみつけてしまった。

 

オモロイ = 驚き × 共感

 

ちなみにここでいう「オモロイ」のニュアンスは、"interesting"よりも"funny"寄りをさす。

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まずはひとつ目の要素「驚き」について。

人は誰しも無意識のうちになにかしらの予想をしている。

この文脈だったら次はこうなるだろう、このワードがきたら次はこれがくるだろう。

意識せずとも過去の経験から勝手に自分の想定をおきながら話を聞いているのである。

行動経済学者ダニエル・カーネマンの学術的な言い方でいえば、意識的に言語化していないものの直感を司るシステム1は作動している状態、といっていい。

www.onclog.com

この情報の受け手が無意識に感じている予想の範囲を越えることをここでは「驚き」といっている。

 

次にふたつ目の要素は受け手から作り手に対する「共感」である。

共感とは、他人事を自分事のように思うことである。

わかりやすくいうと、「あーなんかわかる」と思う感覚である。

 

これら2つの要素を同時に満たすと、人は「オモロイ」を感じる。

 

こう考えると、誰にでも「オモロイ」は簡単につくれそうである。 

ではなぜ僕らは「オモロイ」がつくれず苦労するのか。

この原則にはいくつかの前提があるからだ。

1.「驚き」と「共感」の振れ幅は受け手によって変わる

2.「驚き」と「共感」にはトレードオフの関係がある

3.フリ→オチの落差がある

 

1.「驚き」と「共感」の振れ幅は受け手によって変わる

あたりまえすぎるが、なにを意外と感じるか、すなわちどういう予想をするか、なに共感するかは受け手によって変わる。

受け手は過去の知識や経験に照らし合わせて共感するからである。
紳助がDVDの中で何度も言ってるように、知識や経験は人それぞれだからこそ「オモロイ」を届けるターゲットの選定が大切なのだ。

 

2.「驚き」と「共感」はトレードオフの関係にある

驚きは相手の想定した範囲を越えることであるが、その一方で共感は「あー、なんかわかる」である。

つまり、外にはみ出さないといけないけれど、はみ出しすぎてもいけない、というトレードオフの関係がある。

このちょうど「驚き」と「共感」の間がねらって打てないから、売れない芸人たちはいつももがき苦しんでるのである。

 

3.フリ→オチの落差がある

お笑いの分野にフリとオチという技術がある。

フリからは想定されてないであろう、オチにあたる情報を瞬間的に与えることで、「驚き」のキレを高めるやり方である。

段階的に情報を与えるとどうしても先を予想できてしまう。

Yahoo!知恵袋のこの例をみるとすごくわかりやすい。

本当に辛い毎日を送っています。
私は40過ぎて独身です。つい先日も、こんな事がありました。

ある日、弟夫婦の14歳になる長女の下着類が一切合切盗まれるという事件が起きたのです。あろうことか真っ先に疑われたのは私でした。40歳過ぎて独身だというだけで血の繋がった実の弟からこの私が真っ先に疑われたのです。肉親なのに。ずっと一緒に育った兄弟なのに。ただただ40過ぎて独身だというだけで実の兄である私が疑われたのです。とても悲しいことです。やりきれない気分です。ですが、実は盗んだのは私でした。(本当に辛い毎日を送っています。 - Yahoo!知恵袋

「ですが~」のところで急激にフリ→オチの落差が効いてるのが、理解できるだろう。



事例でみてみるオモロイの原則

それでは実際に事例でオモロイの原則に則っているか確かめてみよう。

事例1)なぜ「意識の高いデブ」はオモロイいのか

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なぜ「意識の高いデブ」がジワるのかというと、"意識の高い"までで、仕事に一生懸命なビジネスパーソンやスポーツにストックなアスリートを無意識にしているからである。しかし、この"意識が高い"とは対極にある、欲望に流され続けた結果の"デブ"できれいに裏切る。ここに「驚き」がある。
しかもこういう意識高いデブは日常生活でときどき目にするの「あー、いるわこういうデブ」と共感してしまう。
 
 
きれいに「驚き」×「共感」という構造になっているのが理解できるだろう。 
 

事例2)なぜ山ちゃんはオモロイのか

次は芸人の中でも抜群のセンスを誇る山ちゃんである。
彼の狙いはものすごく明確で、内向型人間(主にヲタクや非モテ)が感じる潜在的違和感を圧倒的なまでのパワーワードとロジックでバシバシ言語化していくことである。
「好物はオムライス。IQの低めな感じがかわいかったですね」
「髪型も個性的でね。頭の上にサドルみたいなののっかてますけども」
「あーゆー感じの女医さんっているんですね。ソフトオンデマンド以外にも」
こうしたパワーワードやいじりはディスる技術のフレーズとしてストックしておくと、有用かもしれない。 
 

事例3)なぜ一発屋芸人はオモロなくなるのか

最後にうまくいかない例もみておこう。
 「ヒロシです」、「ゲッツ!」、「そんなの関係ねえ!」
これまで数々の一発屋芸人が生まれ、消えていった。
彼らが消えた原因は、同じターゲットに向けてひとつのネタを使い続けたことにある。
予想はその人の知識や経験によって変わる。
知識や経験があれば「あーまたこれかはいはい」と驚きの度合いがどんどん減ってしまう。
同じネタをぶつけるならターゲットを変える必要があるし、ターゲットをそのままにするのであれば飽きさせないよう違うネタをほり込んでいかなければならないのである。
オモロイのは簡単。難しいのはオモロくあり続けることなのだ。
 

「オモロイ」は技術であり、ゆえに習得できる

僕は世の中のほとんどのことは、正しい理論をもとにトレーニングを積めば習得できると思っている。

「努力は必ず報われる」のではなく「"正しい"努力はときどき報われる」。

 

日々目の前で起こる現象をオモロくするにはどのようにコンテンツ化すればよいか。

このコンテンツは「驚き × 共感」の原則にあてはまっているか。

 

こう考えるトレーニングを繰り返せば、次第に「オモロイ」をつくり出せるようなり、オモロイ経済が訪れる頃にはそこそこの富豪になれるのではないだろうか。
 

 

おしまい

 

参考