なぜブスに親切にするべきなのか~情けはブスのためならず~
某日、知り合いのパーティーから帰ろうとしたとき。
「あ、あの!もう帰っちゃうんですか?」
お世辞にもかわいいとはいえない子に声をかけられた。
芸能人でいうと、ノンスタ○ル井上にワンピースを着せた感じだ。
少し違った意味で笑顔がとても眩しい。
おそらく10人中9人はブスと判断するだろう。
「あ、今帰ろうとしてたところ。今日素敵な人いましたか?」
「いました!目の前に(>_<)笑」
「えっ、よく聞こえなかったからちょっともう一度言ってもらっていい?笑」
この後5分ほど楽しく会話してから、僕は帰路についた。
帰り道、パーティーに一緒に参加していた先輩にこんなことを聞かれた。
「おまえなんでブスとあんなに楽しそうに話してたの?」
確かに僕はブスが好きではない。
しかし、事実僕はブスとの会話を楽しんだ。
この一見すると不合理にみえる行動がどうしても気になったようだ。
その質問は「ブスと話している時間があったら美人と話そうぜ!」と主張したいようだった。
確かにこの主張はとてもわかりやすいし正しいようにみえる。
大半の男にとって、恋愛の目的は美人とセックスすることだ。
だから投入するリソースをブスよりも美人に集中しようというわけである。
極めて合理的な考え方である。
確かにまわりをみているとブスに厳しい男がほとんどだ。
ナンパで断られて「さっさと帰れブス!」と言い放ったり、パーティーで話しかけられて「いや、忙しいので」と断ったり、ブスをぞんざいに扱う。
その背後にあるメカニズムはこうだ。
世の中の90%の男は女性に出会うと、瞬時に以下3つのどれかにカテゴライズする。
1)複数回セックスしたい子
個人差はあるものの中の中(ちょいブス)クラス以上。
あわよくば彼女化したいクラス。
この場合はもちろんひたすら親切にする。
2)1回ならセックスしてもいい子
個人差はあるもののだいたい中の下クラス。
この場合は1回ないし2回までなら親切にする。
すぐにセックスできないことがわかるとぞんざい扱う。
ナンパを断られて「さっさと帰れブス!」というのはこのカテゴリ。
3)セックスすらしたくない子
個人差はあるものの下クラス。
話す時間すらもったいない。
この場合はセックスしたくないからそもそも最初からぞんざいに扱う。
パーティーで「いや、忙しいので」というのはこのカテゴリ。
女性の方にとっては信じ難いかもしれないが、これは本当である。
ブスに厳しい男性の行動原理はこの考え方のもととてもシンプルに説明できる。
1)→2)→3)の順で優先度付けをして、セックスの価値が高ければ高いほど親切にしているのだ。
しかし、落ち着いて考えてみよう。
この考え方は、親切と引き換えにセックスを得ようとしていないだろうか。
つまり、これは恋愛はゼロサムゲームでセックスを奪うものというマインドが根底にあることを意味する。
時間配分やコミュニケーションの技術などではなく、そのマインドゆえにこうした行動原理に行き着いてしまうのである。
経営学者楠木氏の名著『ストーリーとしての競争戦略』にはこんな一節がある。
誰もが納得するような合理的な戦略は、すぐに競合他社に真似されてしまい競争優位ではなくなってしまうが、一見して非合理な打ち手は、真似されない。(中略)事前に見た時に非合理だった要素が、後から見た時、ストーリー全体の中では合理的になるということが面白いストーリーを作るためには必要である。
これはどういうことだろうか。
例えば、ノルマを達成しようとなんとかして必死に自社保険を必死に売ろうとする凄腕セールスマンがいたとする。
その凄腕セールスマンは、もっともらしい理屈を説明するのがうまく、利益率の高い自社の保険のバシバシ売っていく。
極めて合理的な行動といえる。
しかし、あなたが顧客の立場でだったとき、この凄腕セールスマンから保険を買いたいと思うだろうか。
答えはおそらくNOである。
それよりもむしろ、あなたにとって役に立つ保険はなにか、ベストな保険はどれかを真摯に考えくれる親切なセールスマンから買いたいと思うのが人間の心理である。
凄腕セールスマンからしたら、親切なセールスマンの行動は不合理にみえるだろう。
顧客にとって役に立つ保険やベストな保険を考えても、すぐには自分の利益にならないからである。
しかし、長期的な視点で考えてみるとどうだろうか。
親切にしてもらった顧客は知り合いにその親切なセールスマンを紹介する。
紹介された顧客はまた別の知り合いにその親切なセールスマンを紹介する。
…
こうして親切なセールスマンは人気者になって莫大な富を築きましたとさ。
めでたしめでたし。
もう言いたいことは、おおよそ理解していただいたと思う。
確かにその先輩からしたら、ブスに親切な僕の行動は不合理にみえるだろう。
ブスを楽しませても、すぐには美女とセックスできるわけでないからである。
しかし、長期的な視点で考えてみよう。
ブスと楽しそうに話している僕に他の女が気づいてなんとなく素敵だなと思う。(直接みえなくても不思議なもので女はこういうことに自然と気づく生き物である。)
他の女も僕がブスでも分け隔てなく楽しく会話できることに気づき、なんとなく素敵だなと思う。
…
こうしてブスに親切な僕はモテにモテまくりしたとさ。
めでたしめでたし。
僕は先輩の質問に答えた。
「"情けはブスのためならず"ですよ」と。
おしまい
参考文献